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R18 ほぼペッティング?前戯?オナニー?です。




重たい頭がゆらゆらと揺れる。画面を通じて部屋に響く笑い声も遠い世界の出来事のようだ。風呂から上がりリビングで千歳とテレビを見ていたのだが、猛烈な眠気のせいで何ひとつ頭に入ってこない。
「雅治、眠かと?眠いならもう寝たらどうね?」
うとうとと船を漕いでいる俺を見かね、寝転んでいた千歳が声をかける。
「ん〜……じゃけど、今日見たい番組あるんじゃ…」
「んなら俺が録画しといちゃるけん、明日見ればよかよ。えーと、どれかいねぇ…」
千歳はテレビ台から取り出した冊子をめくり、青色のペンで囲われた番組欄を確認する。俺たちは新聞の代わりに毎月テレビ情報誌を購入しているのだが、見たい番組にはお互い決まった色のペンを使ってマークするようにしていた。 (ちなみに千歳は俺が適当にやったピンクのペンを使っているので、端から見れば男女が同棲しているようだ)
「よし、わかったばい。ちゃんと録っとくけんね」
「じゃあ頼むわ…おやすみ」
「ん、おやすみ」
時計を見れば、まだ時刻は日付が変わる前だ。せっかく二人でゆっくりしているので少しもったいない気もするが仕方ない。千歳に先に寝る旨を告げ、部屋のパイプベッドにもぐり込んだ。そこではたと気付く。
(あれ……あいつ、録画しとくち言っても、やり方わからんじゃろが……)
なにせ再生と停止ボタンくらいしかろくに触れない機械音痴だ。再度戻って自分でタイマーの設定をするべきなのだろうが、如何せん気付くのが遅すぎた。起きなければと思う心とは裏腹に、疲弊した身体はマットレスに意識ごと吸い込まれていく。
俺の専攻は建築科なので、学年が上がるごとに設計や住宅建築の模型作りといった手間のかかる課題も増える。寝ずの課題作成と学校とバイトという生活がしばらく続き、ようやく今日ひとつ提出してきたところなのだ。明日も朝から学校だが、一区切りついたという安心感もあり、俺は早々に意識を手放した。

「……ん〜…んっ!んぁ……」
眠りについてどれくらいの時間が経っただろう。ふいにおとずれたくすぐったい感覚に身を捩ると、なんとなく上着の前がはだけたのがわかった。腹がむき出しになったはずなのに、なぜかあたたかい。あたたかいのになぜか湿って、次にはスースーする奇妙な感覚だ。しばらくは夢かと思ったが、肋骨に感じたそれがくすぐったくてうっすらと目を開ける。安物のベッドが、ギッと軋んだ。
「……おい」
低いトーンが静寂を切り裂く。寝ていて声帯が閉じていたせいか、いつもの二倍は低い声が出た。その掠れた声にも怯むことなく、俺の上の黒い影はのんきに笑う。
「あ、起こしてもうたと?すまんね」
「すまんねちゃうわ……なにしとんじゃ」
俺の質問に答えることなく、千歳は「寝起きも色っぽかねえ」とたわけたことを口にする。俺が寝起きは血圧と共に沸点も著しく低下するタイプなのはこいつも知っているので、枕元の厚めの雑誌を手に取ると慌てて弁明を始めた。
「わわわ!ちょ、すまんち!ちょっと構ってほしくなっただけばい!」
「はあ?なんじゃそれ……」
返ってきた答えに思わず間抜けな声が漏れる。幾年か共に時間を重ねてきたが、なんだかこの男の精神は年々子供っぽくなっている気がする。中学の時のほうがよほどしっかり自立していたのではないだろうか。
「言っとくが、今日はヤらんぞ」
振り上げかけた雑誌を置き、前もって釘を刺す。久しぶりにシたいという気持ちもわからなくはないが、なにせ今は心身ともに疲れすぎて、扱かれようが口でされようが全く勃つ気がしない。
「うん、よかよ。ただちょっと手伝ってほしかだけだけん、雅治は横んなっとるだけでよか」
何だか不穏な言葉が聞こえた気がするが、横になっているだけでいいというなら従うだけだ。千歳の好きにさせて、あわよくばそのまま眠ってしまいたい。無理をさせられそうになったら狸寝入りを決め込もう、と我ながら非道いことを考えつつ、再度ベッドに身を横たえた。
「雅治、舌出して…」
「ん……ッ」
せつなげな声に応えおずおずと舌を出せば、厚く長い舌にしっかりと絡めとられる。表面から側面、裏のヒダまでくすぐられる。
「んふ、んんうッ…」
口を開けてひたすらに舌を絡ませ合う姿は端からみれば間抜けなのだろうが、きっと気持ちのいい瞬間なんていうのはいつだって間抜けな姿をしているものなのだと思う。だってぬるぬるした粘膜が触れ合って、からだごと心がほどかれていく。唇が重なるというより唇で唇を覆うといったような千歳のキスはいつも心地よかった。
唾液の糸が唇を結んで、千歳のそれが素肌に触れる。寝ている間にパジャマのボタンは全て外されていた。ただ上着を羽織っている状態だ。口づけは顎と首の境目からはじまり、首筋、鎖骨と緩慢に下がっていく。先ほどまでかさついていたはずなのに、キスで潤わされた唇が押し当てられる湿った感触に身体の真ん中がぞくりと震えた。
「んっ……」
外気に晒された乳首はぷつりと立ち上がっている。熱い舌で乳輪をなぞり、まるで慈しむように数回リップ音のするキスをされた。
「っあ、ん……」
少しだけ身じろぎすると、赤ん坊のように乳首に吸い付いてくる。吸い付く唇の端から漏れるちゅうちゅうという音が静かな夜に響いて、なんだか気恥ずかしい。片方の手で胸に埋まる髪の毛を撫でた。
「ん…ッ」
ゆっくりと舌でなぶられ、片方は円を描くように親指で捏ねられる。いつもならもう少し強めに弄られるせいか、どこか焦れったくて、思わず頭に乗せた手に力が入る。勃起した粒を丹念に味わう行為に、熱を逃がすような長い息が漏れた。
唇が離れると、舌先は腹筋の割れ目をなぞり下へ向かう。ぬめる舌でアイスを舐めるように、へその穴をかき混ぜられた。
「ぁうっ…!」
千歳は反射的に漏れた声に気を良くしたようで更に先へ進もうとするが、俺の下半身を見てぽつりと呟いた。
「ん〜…やっぱふにゃふにゃやねえ?」
ズボン越しに性器を軽く揉まれるが、息子は依然として芯を持たない。
「は…っ、たく、じゃから言っとるじゃろ」
「いつもなら乳首でビンビンやのに……イデっ!」
「っ、一言余計なんじゃ!」
デリカシーのない発言に拳骨を落とす。そんな子どものように口を尖らせたって、できないものはできない。
「まあダメもとだったけん、別によかよ。それよかちょっとだけ手伝ってほしか」
気を取り直した千歳は、またがった身体を倒し俺に覆いかぶさってくる。首筋に顔を埋め、先ほどより激しく俺の体をまさぐる。
「んっ…!ちょっ、ちい、んぁっ!!」
突如むき出しになった獣のような猛々しさに、まさか無理矢理するつもりではと冷や汗が出るが、そんな心配もよそに千歳は俺をきつく抱き締めて言った。
「あー、ヤバ、雅治」
そん声興奮する。
頭を抱かれ片耳を塞がれているからか、耳元で告げられたささやき声は実際の大きさより鼓膜に響いた。
俺たちは、曲がりなりにも恋人だ。好いている人間に熱い息とともにそんなことを言われれば、多少なりとも心臓が跳ねるものだろう。横になった頭をしっかりとかき抱かれているので、身動きひとつできない。抱き枕よろしくホールドされた状態でいると、何かが擦れるような音がした。暗闇の中目線を動かしてみると、千歳の左手が下の方で激しく動かされている。自慰をしているのだ。
「はあッ、雅治、雅治っ……!」
うわ言のように自分の名前を唱えながらオナニーする彼氏の姿など、中々見られるものではない。千歳は俺の髪の毛に顔を埋め、何度も息を大きく吸い込む。その度に吐き出される息がたまらなく熱かった。吐息がかかる距離で逞しい腕にしっかりと抱かれているのに、千歳の目に今の自分は映っていない。もしかして出来ないときは、部屋でいつもこんな風に自慰をしているのだろうか?そう考えるとまるで透明人間になって秘密を覗いてしまったような、背徳感に近い興奮があった。
しばらくすると限界が近づいたのか、千歳は大きく息を吐くと体を起こし再度俺にまたがると、見るからに固く勃起した大きな性器を大きな手で激しく擦る、その姿から目が離せなかった。寄せられた眉間の皺に思わず生唾を飲み込む。俺より千歳のほうが、雄としてよっぽど色っぽい顔をしている。
「ッあ!雅治、雅治っ!く、っー……!」
静かな夜にそぐわない、激しい水音が響く。そして何かを堪えるような声が聞こえたと同時に、腹にあたたかいものが飛び散った。千歳は少し肩で息をして、果てた性器を残滓を吐き出すように二、三度扱く。その頃にはなぜか俺の息も上がっていて、上下する腹に精液がかかるのをじっと見ていた。
「っはぁっ…すまんばいね、すぐ拭くけん」
ベッド下からボックスティッシュを取る千歳をよそに、俺の意識は別の方に向かっていた。
(ヤバ、腹一面真っ白……)
腹筋にべっとりと飛び散った精液。においもかなりのものだ。暗闇だからこそなんとなく白く見えるが、実際は黄色味がかった色をしているのかもしれない。
「おっまえ、どんだけ溜まってたんじゃ……」
「はは、雅治が相手してくれんからばい?」
出そうと思えばまだまだ出せる、という言葉に肝が冷える。付き合っていたら間違いなく全身精液でコーティングされてしまう。
「まあ、流石にそれは無理じゃけど…」
しかし、性行為をした後の千歳の掠れた声は気に入っている。腹の精液を拭い、自身の性器を清めようとしている千歳に声をかけた。
「ん」
数枚のティッシュを下半身にあてがう千歳と、口を開けている俺。自慢じゃないが、それで伝わらない仲ではなかった。

「あふ、ん、んんう……」
身体は横になったまま、口内に差し入れられた性器に舌を這わす。千歳は俺の首を挟む形でベッドに膝をついているので、まさに顔面騎乗の一歩手前だ。
力のなくなった性器を軽く舌で持ち上げ、先端の尿道口に舌先を差し込む。濃い精液の味がした。生臭さに加えてなんとも言いがたいしょっぱさも感じるので、もしかしたら少し尿も混じっているのだろうか?
「ははっ、こりゃたいぎゃ棚ボタばい…」
「ん…ぷは、俺は、いいとばっちりじゃ…んんっ…」
千歳が支える性器に、顔の角度を変えて丹念に舌を這わす。更に竿全体を綺麗にしようと大きく口を開けば喉の奥まで性器が入れられるのだが、そうなると必然的に鼻で呼吸するしかない。鼻先は濃い陰毛の茂みに突っ込む。いつもより濃密な雄の味とにおい直接脳に響き、気だるい身体を甘く痺れさせた。思わず頬に乗っかるたっぷりとした睾丸まで口に含んでやろうかと思うくらいだ。弾力のある肉棒を唇で食んで上下に滑らす。きちんと全体が綺麗になったのを確認して先端に口づけたところで、千歳が俺の額を撫でた。
「あんがとね、雅治。もうよかばい」
その目は嬉しそうにうっとりと細められている。千歳はセックスをしている時もそうだが、そうじゃなくてもたまに、どうすればそんな顔が出来るのか、という顔をする。
「今蒸しタオル持ってくるばい」
衣服を整えた千歳が部屋を後にする。部屋には青臭い匂いが充満し、口内に残る特有の味と匂いがとれない。唯一持ち上げていた頭を枕に沈める。
(あー、クッサ……身体だるいし、歯磨きももっかいやらんと…)
もう指の一本を動かすのもしんどい。すっかり体力を搾り取られ、ぼーっと天井を見つめる。そもそも今は何時なのだろう。充電している携帯にも手が届かないので、千歳が帰ってこなければ時間を知ることもできない。
もうこうなったら、責任をとって歯磨きも千歳にやらせてやろう。責任をとって、と言っても、あいつはきっと喜んで一本一本馬鹿丁寧なくらいにきちんと磨いてくれるのだろうが。それはきっと、自分が疲れていてもこんな無理をしてしまうのと同じだ。そう考えだすとなんだか癪で、頭をがりがりと掻いた。こんな面映い気持ちは柄じゃない。今頃レンジの前で、タイマーとにらめっこしているのだろうか。早く帰って来い。でないと、腹の残滓がすっかり乾いてしまう。


(20120509)
(20120511)加筆修正