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R18 年齢制限にご注意ください。
柳さんめっちゃ喘いでてすいません




「お邪魔します」
「やだなあ、そんな他人行儀な挨拶いりませんって〜」
「親しき仲にも礼儀あり、と言うだろう。他人の家に上がらせてもらうのだから、いくら気心の知れた仲でも礼は必要だ」
 それと同時に手土産のアイスを渡してやると、犬であればブンブン尻尾を振っているのだろうと思うほど喜び「やっぱり礼儀は大事ッスよね!」と白い歯を見せて破顔する。その現金さに思わずこちらが笑ってしまうというものだ。
 次の日曜、家に誰もいないんで遊びに来ませんかと誘われたのは一週間前のことだ。ちょうどその日は何の予定もなかったし、第三日曜日は部活もオフだ。その誘いに込められた意味はわかっていたが、一応俺たちも交際(しかもそういう意味での、だ)している仲なので、断る理由もない。ふたつ返事で了解して、自分の好みよりも季節柄赤也が喜びそうな手土産を持って自宅に赴いたというわけだ。

「適当に座ってくださいね〜」
「ほう、前に来た時よりだいぶ綺麗になっているな」
 案内された赤也の自室は相変わらずテレビ周りだけはゲーム機の配線が目にうるさいが、珍しくそれなりに整頓されていた。
「あ、あれから頑張って片付けたんスよ!」
「なるほどな…」
 ちらりと目配せしたクローゼットの扉を開ければ中から押し込められた荷物が雪崩のように飛び出してくるのはほぼ確実だろうが、ここは知らないふりをしておいたほうが吉だろう。
「それにしても、赤也の家に邪魔するのは久しぶりだな」
「家に、どころか会うのも久々ッスよ…」
「そうか?全国が終わったとはいえ、部活でほぼ毎日顔を合わせているだろう」
「あ〜ッもう!!…もしかして、わかって言ってます?」
並んで腰掛けたベッドがきしむ。上目で覗き込む赤也の瞳を見つめながら、スプリングのよくきいたこれはきっと御両親が赤也の成長を見越してよいものを購入したのだろうな、などと考えた。
「さぁ、何のことだ?」
「もー…じゃあわからせてあげるッスよ」
 そういえば以前弦一郎に「お前はまさに柳に風だ」と言われたことがある。言葉をかわすと少しムキになった赤也が首筋に顔を埋めてきた。
「おい、アイスはいいのか?せっかくお前の好きなチョコ味のを買ってきたんだぞ」
「あとでいいッス」
 どうやらすでに火が点いてしまったらしく、舌で舐められた喉仏のあたりに冷房の冷気が当たってスースーする。そのままベッドに押し倒されながら、まさかこんな風に使用されるとは夢にも思わなかったであろう赤也の御両親に良心の呵責を感じながら、それでもその首に手を回さずにはいられないのだ。


「ぅ、あ…ッ!」
「はっ、やなぎさん、気持ちい…?」
「んん…っ!」
 抱き込んだ頭はちゅうちゅうと赤子のように乳首を吸う。かと思えば舌の先端で潰すように舐められ、歯でこしこしとやわく擦り合わされる。母乳も出ないのに、触られないもう片方の乳首がツンと張るのを感じていた。
「ッは、んぁ…」
 唾液の糸を引き胸から口を離した赤也が、弄りたおした方の乳首を摘みあげながら言う。
「スッゲ、えろ…」
 捏ねられている乳首は赤く腫れ、もう片方の乳首も触って欲しいと強請るようにツンと勃起している。その様を視姦するように見つめられ、もどかしさと快感を半身づつ抱えるのはたいそうじれったく、つい腰が揺れた。
「ぁ…赤也…」
「わかってますって」
 放置されていた乳首を少しだけ強めに噛まれ、下着越しに逆手に股間を揉まれる。手をゆっくり上下に揺らして、親指から小指へ、またその逆へ強弱とリズムをつけて性器を揉み込まれる刺激に喉が反る。
「あぁ…っ!」
「はぁっ、柳さん、濡れてきた」
 かたい、といちいち実況するのは赤也の悪い癖だ。しかしそれも赤也自身が高まってきている証拠であり、耳元でハアハアと息を荒げて自分の下着に手をかける。
 赤也とのセックスは性急だ。俺だって赤也としか経験はないが、さすがに世の中の誰もがこんなにせわしないセックスをしているとは思えない。以前、いちいち実況する癖と合わせてそんなにがっつくと女性に嫌われるぞ、という話をしたことがある。しかしそれに対し「エロ本は好きッスけど、ヤりたいのは柳さんだけなんでいいッス」等と喜べばいいのか怒ればいいのかわからない返答をされて以来、俺もそれについては深く触れないことにしている。しかし、そんな俺でもひとつだけ気になることがあった。
「い、いいッスか…?」
「っは、ああ……あっ、んぁあっ!」
 性的対象を前にした興奮こそ隠し切れていないが、前戯はしっかりしてくれるし挿入の際もたっぷりとローションを使ってくれる。(以前赤也のパソコンを借りた際に検索履歴に同性同士のセックスに関連する内容がズラリと埋まっていて、多少胸を打たれた覚えもある。もちろん他の誰かに見られても困るのでその後履歴はそっと消去しておいた)
 だがしかし、とても言いづらいことではあるが、いわゆる『イイトコロ』にあと少し届かないのだ。もちろん俺も自分の性感帯(それも尻の中)を完璧に把握しているわけではないが、実際のところ毎回毎回達するには必死に前を擦らなくてはいけないし、尻に突っ込まれるだけで快感を得られるかと聞かれれば否だ。もちろん全ての男が尻で絶頂を迎えられるわけでないことはわかっているが、痛みを我慢しっぱなしのセックスはパートナーにも申し訳ない。
「んっ、は、狭っ…!やなぎさ、イイ…?」
 それがこうして毎回毎回腰を揺らしながら具合を聞いてくれる、愚直なまでに一生懸命な恋人であれば、なおさらだ。
 やはり、と決意を新たに赤也の首に腕をまわし、その腰にがっちりと足を絡ませる。
「えっ、や、柳さん??」
 今までセックスをしていてこんな体勢をとったことがないので、声を上ずらせ少し慌てているらしい。
「はぁ、ん…っ!そんな大胆な…と、お前は言うだろうが」
 ぐるん。世界が反転し、先ほどまで俺に覆いかぶさっていた赤也は次の瞬間には俺の下でぱちりと猫のように大きな瞳をしばたかせた。マットに押し付けられた衝撃はスプリングが吸収してくれたのだろう、痛い思いをさせずに済んだのもひとえにこのベッドのおかげだ。
「んぁっ!!」
「や、柳さん!?」
 腹筋に力を入れて体を回転させたはいいが、赤也の腹に跨る際に繋がったままの性器がグリッと奥を抉り、思わずはしたない声が出た。
「っは、だ、大丈夫だ…お前は、俺が乗っていると苦しいか…?」
「や、ぜ、全然大丈夫ッスけど…えっ!?」
 赤也は肌こそ色白だが、つくべき筋肉はしっかりついている。その腹筋から臍にかけて指先でなぞれば腰がびくんと揺れ、同時に胎内の性器が大きさを増した。
「んッ!…そ、そうか…じゃあ動く、ぞ」
「え、ちょ、やなぎさ…!?ぅあぁッ!?!」
 赤也の腹筋に手をつき、自ら律動して性器を出し入れする。自重からいつもより深く咥え込むのはもちろん、ぱちゅぱちゅと響く睾丸が当たる音が卑猥で耳を塞ぎたかった。何より結合部分を始め、触れている腹筋と自分の手がとても熱く、どちらの熱かわからないままロウのようにドロドロに溶けてくっついてしまいそうだ。
「ぁッ!あっぁっあッあ!あ、あァあっ!!」
「ッやべ、あつ…っ!」
 まさか上下が変わるだけでここまで感じ方が変わるとは思わなかった。浅ましいとは思うが、跳ねる腰が止まらない。快楽を追いかけているのか、それとも快楽に追い立てられているのかももうわからなかった。
「ははッ、すげ、柳さんちんこビクビクしてる…」
「あ、ぁかやぁ…!前、前……ッあぁあァ!?!」
 せっかく体を重ねているというのに一人で恋人の性器を出し入れして、更に自分で前を弄って達するなんてみじめにも程がある。前を触ってくれ、と強請った瞬間、咥えている性器が腹側のある一点を擦り、背筋を電流が駆け抜けた。
「なッ何、ひぁああぁッ!!」
「っや、柳さんッ、それ前立腺ッスよ!」
 そうか、ここが前立腺か、などと思う暇もなく、間髪入れずに赤也が下からガンガン突き上げてきて泣き声のような喘ぎが漏れる。
「ゃッ赤也だめだ!!あッ、前、まえぇえぇっ!!」
 あまりの快楽に、このままでは尻だけで達してしまうと本能的に子供のようにいやいやをする。その間も逃さないと言わんばかりに腰を掴まれ、容赦無い突き上げはやまない。もう赤也は完璧に前立腺を責めることに意識が向かっていて、触ってもらえないなら自分でやるしかないといかにも苦しそうに筋が浮いた性器へ手を伸ばせばそれすらも制止される。両手をそれぞれ赤也の指に絡ませる形で封じられ、腰が突き上げられる度に脳に火花が散り全身が跳ねた。
 頭がおかしくなる、としか言いようがない。自分が自分でなくなるような強すぎる刺激だ。初めての使用でここまで擦られ続け、前立腺炎にでもなったらどうしてくれよう。
「っは、やべ、マジかわい……ね、柳さん」
 そのままイッて?と、自分の中で予想していた台詞と、現実の赤也の言葉が重なりあって脳に響く。言われずとも、もう、限界だった。
「あァッ!ぁっあっアッあっんぁ、ぁあーーッ…!!」
 張り詰めた性器から勢い良く飛び散った精液は、赤也の胸元を始め口元にまで及んだ。アナルからズルッと性器を抜くと、赤也もほぼ同時にゴムに射精していたようだった。力の入らない体で、赤也が空けてくれたスペースに倒れこむ。
「スゲェ濃いッス」
 口元の精液を拭ってわざわざ口へ運ぶのはもちろん、そのまま味が残った口で舌を絡ませるキスをしてくる神経は、赤也について数ある中でも特に理解し難いところだった。

「ね、柳さん。最近オナってなかったんスか?」
 そろそろ家人が帰ってくる時間だと、裸でごろごろしていたベッドを抜けて互いに服を纏う。だってスゲェ濃かったッスよ、と一度ならず二度までも口にするコイツにはやはりデリカシーというものを教えてやる必要がある。
「…では逆に聞くが、近々恋人と会う予定があるのに、どうして自慰をする必要がある?」
「へっ?」
「まぁ、そういうことだ」 アイスは人数分あるから家族で食べてくれ、と階段を降りて玄関へ向かう。靴を履いて誰もいない空間に「お邪魔しました」と挨拶をして外へ出ると、何か理解したらしい赤也が勢い良く二階の窓を開け、満面の笑みで叫んだ。
「柳さーんっ!!俺もっ!俺も会うってわかってる時はオナ禁しますー!!」
 紅潮した頬で嬉しそうにブンブンと手を振っている。…どうやらデリカシーだけでなく、公序良俗という言葉も教えてやらなければいけないらしい。
 続けてこんな衆目の下、住宅街に響き渡る声で恥ずかしげもなく「好きッスー!!」などと叫んでしまうあたり本当に馬鹿で、手がつけられないとさえ思う。しかしそれ以上に愛しさを覚えてしまう俺も相当のものなので、こうなったらもういっそ、ふたりで馬鹿になるのもいいかもしれない。

(20110808)